Page 3 : 放射温度計

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図-1

【 放射温度計 】
すべての物体は、その表面から電磁波の形で熱放射エネルギーを放射している。この熱放射エネルギーの波長分布と、各波長におけるエネルギーの強さは、物体の温度と一定の関係にある。そこで、この関係を利用して物体の温度を求めるのが、放射温度計の原理である。

黒体の熱放射エネルギー(単位面積から単位時間当たり放射される、波長λにおけるエネルギー[W/cm^2・μm])の分布を図−1に示す。

放射温度計の分類と、その原理の大要を図−2に示す。

全放射温度計は主として低温の測定に使用される。ただし、光路中に炭酸ガスや水蒸気があると、これらが熱放射エネルギーを吸収するので、測定波長帯を8〜13μmにする製品が多い。

単色放射温度計(光放射温計)の構造を、図-3に示す。測定対象物からの放射エネルギーは微弱なので、チョッパに入れて断続し、交流信号として検出器に入れ、増幅後に同期整流して取り出される。正確な測定を行なうために、比較電球を内蔵しているタイプもあり、測定対象ごとに放射率の補正を行なう。■




図-2




図-3




図-4

【 サーモパイル/サーモビューワー 】
放射温度計のセンサとして用いられる[サーモパイル(赤外線センサ)]は、たくさんの熱電対を直列に接続した物である。(図-4)

物体から放射された赤外線が、レンズなどの光学系でサーモパイルへ集光される。サーモパイル受光部(温接点)へ赤外線が入射すると、入射した赤外線の量に応じて温接点と冷接点との間に温度差が生じ、その差に応じた熱起電力が発生する。

ここで、温度を知るためには、冷接点側の温度を測定し、この温度による補正を行なう必要がある。そこで、冷接点の温度を得るために、放射温度計内部でサーモパイル自身の温度を測定する構造になっている。

サーモパイルの主な使用用途には、耳式温度計、電子レンジ 、エアコン、人体存在検知、OA機器、車載温度センサ、および放射温度計などがある。

放射温度計のメリットは、非接触で測定できること、立ち上げてすぐに測定ができること、さらに、近年比較的価格が低くなってきたこと、が挙げられる。

サーモパイルセンサを二次元的に並べたものを、[サーモパイルアレイ]と言う。(図-5)

このアレイを用いて、測定対象を電気的に走査すると、対象物の温度分布を測定することができる。この装置を、[サーモビューワー]という。また、この装置および測定方法を赤外線サーモグラフィともいう。(図-6)■
http://www.netdecheck.com/sensing _solutions/cutting_edge/002/から一部引用




図-5




図-6