Page 5-9 : 超音波流量計
[ 図 -1, -2, -3 ]
図-1
【 超音波流量計 】
超音波流量計には、伝播時間差式とドップラー式がある。
超音波が流体の流れに乗って進むように発射されると、その伝播速度は速くなる。流れに逆らって超音波が進むと、その伝播速度は遅くなる。その差を取ると、流体の流速に比例することから流量が求まる。
クランプオン形(図−1:左)は、測定管の外側に超音波をよく通す物質を使用した「くさび」を接着し、これを介して超音波を管内の流体に送り込むタイプの伝播時間差式の流量計である。
くさびには、超音波の送信機と受信機をかねた超音波振動子が接着されており、超音波が一方の振動子から他方の振動子まで届く時間 T1 と、逆向きに発信されたときの時間 T2 を測定し、その差から流速を求めるものである。この流速は、超音波が通過する経路の平均流速であり、この値から測定管の面平均流速を求め、断面積を掛けて流量を決定する。
ドップラー式超音波流量計(図−1:右)は、くさびを介して超音波を流れに送り込む。流れの中にある気泡や固形物から反射される超音波は、ドップラー効果により周波数がシフトする。送信波と受信波の周波数の差は、流速に比例するので、これより流量を知ることができる。ドップラー式は、流体に気泡や固形物が混じった流体でも測定が可能であるが、測定精度はかなり落ちる。■
図-2
【 超音波とは 】
超音波は人間の耳で聞き取ることが出来ない周波数の高い音波であり、一般的には20kHz以上の音響振動と定義されている。
超音波は音響振動で、これが伝わるためには気体、液体、固体などの媒体を必要とする。したがって、真空中でも伝搬する電波(電磁波)とは全く異なり、超音波の伝搬速度は、電波に比べて遅く、その波長が短い。この特性を利用して距離計、厚み計、医療用の診断装置、そして流量計として活用されている。
超音波流量計には伝搬時間差法、伝搬時間逆数差法、シング・アラウンド法、ドップラー法など、いくつかの方法がある。
超音波流量計の特長として
1.構造が簡単で機械的可動部がない
2.レンジアビリティが非常に大きい
3.圧力損失がない
4.正逆計測が出来る
5.渦流量計などに比べ大口径が容易に製作できる
などが挙げられる。
自然界には超音波を活用している動物が沢山いる。その中でも有名なのがコウモリやイルカである。■
図-3
ドップラー効果のシミュレーション [下図をクリック]
【 ドップラー効果とは 】
ドップラー効果(ドップラーこうか)とは、波(音波や光波や電波など)の発生源(音源・光源など)と観測者との相対的な速度によって、波の周波数が異なって観測される現象のこと。発生源が近付く場合には波の振動が詰められて周波数が高くなり、逆に遠ざかる場合は振動が伸ばされて低くなることをいう。
観測者にあたる振動数の違いには2種類の場合がある。一つは実際に波長が違うようになって振動数が違ってくる場合で、もう一つは、波長は変わらないが観測者が動いたために観測者にあたる振動数が変わる場合である。音を例にあげれば、音源が観測者(聞き手)に向かって動いていれば本来の音より高い音に聞こえ(前者の場合)、聞き手が音源に向かって動いていれば高い音に聞こえる。(後者の場合)逆の場合は低い音に聞こえる。
音についてのこの現象は古くから知られていたが、オーストリアの物理学者、クリスチャン・ドップラーが速度と周波数の間の数学的な関係式を1842年に見出した。オランダ人の化学者・気象学者であるクリストフ・バイス=バレットが、1845年オランダのユトレヒトで、列車に乗ったトランペット奏者がGの音を吹き続け、それを絶対音感を持った音楽家が15人、間隔で並んできいてもらった。その結果、汽車が眼の前を通り過ぎるまでは高い音に聞こえ、眼の前を通りすぎたとたん低い音に聞こえたと全ての音楽家が回答した。実験は2日間にわたり行われた。■
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から一部引用