Page 7-3 : ジルコニア式酸素センサー

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【 ジルコニア式酸素センサー 】
両面に電極加工したジルコニアセラミックスには、高温下において一方の電極部で酸素分子をイオン化し、他方の電極部で酸素イオンを酸素分子に戻すという性質を持っている。このイオン電導の度合いは、ジルコニアセラミックスの両側にあるガスの酸素分圧の差に依存する。

このイオン電導の度合いを、両電極間の起電力の大きさとして取り出し、ネルンストの理論式により酸素濃度へと換算する。

【 ジルコニア 】

ジルコニア (二酸化ジルコニウム、化学式 ZrO2)は ジルコニウムの酸化物である。常態では白色の固体。融点が2700℃と高いため耐熱性セラミックス材料として利用されている。また、透明でダイアモンドに近い高い屈折率を有することから宝飾品としても用いられている。

ジルコニアは室温では単斜晶系であり、温度を上げていくと正方晶および立方晶へと結晶構造が相転移する。この相転移は体積変化を伴うため、焼結体は昇降温を繰り返すことによって破壊に至る。

ジルコニアに酸化カルシウムや酸化マグネシウム、あるいは酸化イットリウムなどの希土類酸化物を固溶させると構造中に酸素空孔(Vacancy)が形成され、立方晶および正方晶が室温でも安定または準安定となり昇降温による破壊を抑制することができる。このような酸化物(安定化剤と呼ぶ)添加ジルコニアを安定化ジルコニア(stabilized zirconia)、または部分安定化ジルコニア(partially stabilized zirconia)と呼ぶ。

安定化ジルコニア(特にイットリア安定化ジルコニア)は電気伝導率に優れており、酸素センサーおよび燃料電池の固体電解質としての用途がある。■
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 & http://www.toray-eng.net/sanso/rf30/ pdf/rf30j0604.pdf から一部引用