抗菌・抗ウイルス性ポリマーの開発


抗菌活性を有する化合物の開発は,薬剤耐性菌に対抗する上で有効であると期待されます。カチオン性高分子は抗菌活性を有することが知られているため,カチオン性ポリシロキサンポリマーについて抗菌作用を解析しました。種々のポリマーを1.0 mMの濃度で大腸菌に加え,37℃で24時間寒天培地で培養した後, 生成したコロニーを計数しました。その結果,側鎖にアルキル鎖を有するポリマーでは,鎖長が4以上のものについて顕著な生育阻害効果が見られました。また,鎖長が長くても,水酸基やエーテル酸素が存在する場合は生育阻害効果が見られませんでした。その理由として,極性が高くなるため抗菌作用が損なわれると考えられます。以上の結果から,抗菌作用を示すには,鎖長が長く,極性が低いことが必要であると考えられます。このような抗菌活性を有するポリマーは,消毒液や抗菌材料の原料として有用であると期待されます。

図1:種々のカチオン性ポリシロキサンポリマー(左)による大腸菌に対する抗菌作用(右)



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