研究紹介

研究紹介

ケイ素含有高分子材料とは

ケイ素を有する光・電子機能性高分子材料の創製

ポリ(テトラメチルシルアリーレンシロキサン)は、主鎖がシロキサン結合(Si-O)とアリーレン部位(-Ar-)から構成される高分子です。アリーレン部位に芳香環を導入したポリ(テトラメチルシルアリーレンシロキサン)誘導体は、芳香環上のシリル基の効果により、吸収および発光波長の長波長シフトや発光効率が向上します。

イオン性基を有するシロキサン系高分子材料の創製

イミダゾリウム塩は側鎖や対アニオンの違いにより、イオン伝導性、抗菌性、ガス吸収といった特性を有する化合物です。イミダゾリウム塩をポリシロキサンに導入することで、新たなケイ素含有機能性高分子材料が創製でき、架橋高分子化することで吸水性が発現します。

表面改質を可能とするケイ素含有材料の創製

材料表面の性質(濡れ性・接着性・摩耗性など)は表面の組成や構造に依存します。材料の表面改質を行うことで基材の表面のみ性質を変化させることができるため、ケイ素含有材料を安価な汎用高分子材料(PETなど)に密着させることで、基材表面にケイ素含有材料の特性を付与させることが可能となります。

ケイ素系化合物を用いた低誘電材料の創製

第5世代移動通信システム(5G)では、低誘電特性を有する材料が使用されています。熱硬化性樹脂の一つであるビスマレイミド樹脂を次世代移動通信システムに応用するためには、さらなる低誘電化(低誘電率および低誘電正接)が必要です。ビスマレイミドにケイ素系化合物を添加して硬化させることで、低誘電特性を有する熱硬化性樹脂を創製することが可能となります。

耐プラズマ特性を有するケイ素含有材料の創製

半導体の製造技術(フォトリソグラフィー)において、プラズマによる材料の劣化(クラック)が問題となっているため、半導体の製造装置に使用する高分子材料には耐プラズマ特性が要求されます。芳香環とケイ素含有官能基を有する化合物は耐プラズマ特性を有することから、シール材へ添加することでクラックを抑制できます。

燃料電池用白金フリー酸素還元触媒の開発

固体高分子型燃料電池(PEFC)には、高価な貴金属である白金(Pt)を用いた触媒が使用されています。PEFCの本格普及にはより高い酸素還元活性を示す低コストの触媒開発が要求されるため、安価な金属を担持させた金属フタロシアニン誘導体を用いた脱白金酸素還元触媒の開発を行っています。